晴れ、時々モンスーン

シンガポールに暮らす日々

到着して2週間

日本を出国してから2週間が経った。目下、ここでの生活をとても気に入っている。今は仕事をしていないからというのも大きな理由だが、東京にいた時と比べてストレスが減ったので、肌の調子が良い。

シンガポールは先進国ではあるのだが、南国の気候のせいか人々がリラックスしているように見える。デジタル化が進んでいるので行政や空港の手続は日本よりも迅速だが、スーパーや店の接客はのんびりしていて、効率性とユルさのさじ加減が面白い。

一番嬉しかったのは、ショッピングモールに行った時に前の人(東洋系のルックス)がドアを開けて待っていてくれたこと。それも一度ならず、二回。昔、東京のデパートで後ろの人のためにドアを開けて待っていたら、礼も言わずに通り過ぎていったことがある。外国から帰ったばかりの私は驚いて、思わず親に報告した。それ以来、日本はおろか、アジア圏にそのようなマナーは存在しないのだと信じていた。

たまたま、そういう人に出会っただけかもしれない。でも東京では、我先に電車に乗って座席を確保しようとする、エレベーターで人が降りた瞬間に閉ボタンを押す、エスカレーターの右側を駆け上がる…そんなことが日常茶飯事だったので、後ろの人のためにドアを開けて待つという、気持ちのゆとりに感動したのだ。シンガポールでどれくらい普通のことなのかは知らないが、見ず知らずの人に親切にされた経験は間違いなく私の好感度を上げた。

東京にもそれくらいのゆとりがあれば良いのだが…。満員電車に詰め込まれた灰色の光景を思い出して、胸が苦しくなる。